雪国黄精の

公開日:平成23年11月8日


ノートパソコン、Dell Inspiron 1150で法外なCPU換装!


 私は、中古パソコンをお客様に販売する時は、まず当然ながら故障が発生しにくいメーカーの製品を選んでいます。次に選定する条件は分解メインテナンスの容易な機種であることです。この条件で選ぶと当研究所で経験上決められたメーカー別の信頼度ランキングは・・・
 第1位  東芝
 第2位  DELL
 第3位  Renovo(IBM)

  −− この様になります。

 最近、なぜかDELL Inspiron 1150の修理依頼が目立って多く、部品取り用のジャンク品を購入するうちに補修用パーツが大量に溜まってしまいました。
 パソコンの電気的な故障はマザーボードの不良であることが多いので、マザーボードだけが動作可能なジャンク品さえあれば、当研究所にある補修用パーツを再利用してパソコンを組み立ててしまうことができるため、9月よりジャンク品を安価で買い集め、2台分のパーツを組み上げて使用可能な状態にしました。CPUはCeleron 2.4GHzで、WEBサイトの閲覧もスムースなので、この寒い時期はコタツにあたりながら使用しています。
 更に最近は、Microsoft Visual Studio 2010 Professional Versionを手に入れたことから新たにWindowsアプリケーションの開発を意欲的に始めています。
 ところが、Visual Studio 2010は高性能なハードウエアを要求するアプリケーションであることから、DELL Inspiron 1150でプログラミングをしていると度々CPUパフォーマンスが100%になり応答が無くなってしまいます。そこで思い立ったのがCPUをPentium4にグレードアップすることです。
 DELL Inspiron 1150はBTOで、最高級機種はCPUにIntel Mobile-Pentium4 2.8GHzが装着されます。
 しかし、メーカー純正仕様のCPUを換装した程度で満足に浸るオカダ・システムエンジニアリング研究所ではありません。どうせやるならば、誰もやった実績の無いことにチャレンジします。

 平成23年11月時点でWEBサイトを見ると、P4の3.0GHz以上で動作したという報告がありますが、CPUの詳細情報を掲載していない、信頼できない記事でした。
 そこで、当研究所ではMobile-Pentium 3.06GHzを換装し、成功しました。
 以下にその詳細を紹介します。

1. 搭載したCPU

 Intel Mobile-Pentium4 3.06GHz Bus speed 533MHz L2 cache 1024KB SL7NA (http://www.cpu-world.com/sspec/SL/SL7NA.html)

2. コンピューターのその他の性能

 RAM: 1GB  HDD: IDE 149GB  Video Controller: Intel(R) 82852/82855 GM/GME
 ACアダプター: PA-12 19.5V 3.34A
 BIOS: Version A07 (現時点での最新版)

3. 換装後の状態

  起動後に、BIOSが次の様な警告メッセージを表示しますが、警告を消す方法は用意されていないのでF1キーを押してスキップさせます。


F2キーを押してBIOSのセットアップ画面を表示させると、CPUクロックが判別不可能になっています。
2次キャッシュ容量は1024KBと、、正確に読み取れています。


Windows XP SP3でのCPU識別状況


CPUの温度をモニターするフリーソフト「Core Temp」によるCPU識別状況


4.使用中の状況

 CPUの温度が概ね55℃になると自動的にファンが高速回転します。ファンの音は、同性能のノートパソコンよりも静かで気になりません。CPUの最大定格使用温度は75℃なので排熱性能に充分余裕はあります。
 私は、バッテリーの寿命を縮めないために常時バッテリーを抜いて使用していますが、CPUの換装後もACアダプターが高温になることはありません。もしバッテリーに充電しながら使用するならば、電流容量が1クラス上のPA-10(19.5V 4.62A)を使うことにしています。

5.高速化の検証

 HDBENCHによるベンチマークテストの結果 (ALL:総括スコアーの数値)
 Celeron2.4GHz: 26620 → Pentium4 3.06GHz: 32011  約1.20倍の高速化

 CPUの演算性能とHD R/Wには大差がありませんでしたが、メモリーR/W、グラフィック描画性能では1.2倍の高速化が確認されました。
 しかし、CPUの定格周波数がCeleronの2.4GHzに対するPentium4の3.06GHzで約1.28倍アップしているのに比べるとパフォーマンスは比例して追従していないことになります。
 このDELL Inspiron 1150のBIOSは、Pentium4のHT(ハイパースレッド・テクノロジー)をサポートしておらず、またBIOSでCPUのクロック倍率をカスタマイズできないため、CPUクロックは残念ながら約1800MHz(133MHz×14)の固定周波数で動作します。CPUの過度な発熱を防止するためなので、これは致し方ないでしょう。
 一部のWEBサイトに、Celeron 2.4GHzからPentium4 2.8GHzに変えただけでWEBサイトや動画の表示が劇的に早くなったという体験記事がありましたが、実は当研究所でも実験しております。Mobile Pentium 4 HT 2.8GHz/512/533 SL77Nという性能のPentium4では、BIOSがCPUを認識し、コンピューターも正常に起動します。但し、CPUクロックは約1800MHz(133MHz×14)のままなので、ベンチマークテストの結果と体感速度はCeleron 2.4GHzとPentium4 3.06GHzの大体中間くらいです。劇的に早くなったというのは誇張表現で、信用できません。
 Visual Studio 2010で動作確認をしてみたところ、今までCPUメーターが100%になっていたWPFデザイナーとXAMLテキスト編集時の動作速度の改善には効果があり、度々応答が無くなる現象は、発生しなくなりました。

6. 対費用効果

 今回、CPUは中古品を使用しました。これは送料を含めて市価2,200円程度で購入できます。Celeron 2.4GHzの速度と比較して、CPUメーターが100%で固まる状態の発生は少なくなり、動画を扱うアプリケーションの動作は高速化されます。
 当然ですが、メーカーの保証は受けられなくなりますので御注意下さい。

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