雪国黄精の

公開日:平成21年10月17日


Buffalo Linkstationの不具合報告
NASのマウントエラーは6万円で修復できる!


 平成21年9月中旬に、当研究所のファイルサーバーがダウンし、蓄積されていたファイルが読めなくなりました。
 ファイルサーバーは、Buffalo社のLinkstation LS-L500GLというNASでした。
 新品で購入してから1年6箇月しか使用しておらず、正常に機能していたのでバックアップは取らずに使っていました。
 ある日大容量のファイル群をNASにコピーした後、すぐにこれが不要になったため、NASの不要ファイルを削除した後にNASのゴミ箱内を削除し始めたところ、異様に時間が掛かるので、複数のクライアントから別々にゴミ箱内のファイルを削除し始めたら突然NASが反応しなくなり、NAS本体のエラーランプが点滅し、ディスクマウントエラーを示していました。
 ディスクマウントエラーは、NASの電源を再投入しても発生し続け、内蔵HDDに恒久的な不良が発生したと判断しました。
 この時、NASにはグラフィック作品や自作プログラムのソースコードなど、数多くの非常に重要なファイルが納められており、HDDのデーター修復業者に復旧作業を依頼することに決めました。
 復旧作業には10万円程度が見込まれるため、少しでも料金が安く、且つ腕の良い業者を選定することにしました。
 まず見積を依頼したのは、Buffalo社と技術提携して同社のハードディスクストレージ製品の復旧を行っているという×××××・デ××ンという業者でした。ここはBuffalo製品のデーター復旧3割引ということを営業の目玉にしていることから、他社よりは安いのではないかと思い選定しました。しかし、ここの見積価格は、いきなり想像を超えるものでした。
 この業者との電話でのやりとりを、公開します。

 岡田:昨日、復旧作業の見積を依頼した新潟県の岡田と申しますが、メールでお知らせした障害状況では、どの位の料金になるのでしょうか。
 業者:お知らせいただいたマウントエラーの復旧では、最低13万5000円となります。
 岡田:えっ!でも今回の障害は物理エラーではないのですよ。論理エラーの復旧ならもっと安くなりますよねえ。たとえ論理エラーで済んだとしてもこんなに高いんですか?
 業者:ええ。過去の実績から、Linkstationのマウントエラーの復旧には、障害の度合いにもよりますが、最低これだけはかかってしまいます。
 岡田:料金は13万5000円の3割引ということになるんですか?
 業者:はい。そうです。
 岡田:ああ。料金が予算に合わないですし、今回の依頼についてはお断りします。
 業者:当社はBuffalo製品のデーター復旧を専門に行っておりまして、復旧実績は他社より優れていると評価をいただいておりますので、どうか私どもにお願いいただけないでしょうか。
 岡田:いいえ。ダメです。お断りします。

 私は、他社のWEBサイト等を見て、NASのメディア復旧では論理エラーは5万円程度、物理エラーは10万円程度という相場を知っていたので、重度障害である物理エラーの復旧代金に始めから3割を掛けた料金設定を聞いて頭に来ました。
 次にWEBサイトから、料金の安い別の業者を探しましたが、所在地が福岡県と遠く、送料と運送時間の点で不都合なためやめました。
 次に、秋葉原データ復旧センターという作業料金の安い業者を探し、マウントエラーの復旧であっても論理エラーならば5万円程度で済むと言うことを電話で確認し、すぐに復旧を依頼しました。
 作業は3週間程掛かってしまいましたが、データーの復旧率は100%(当研究所の判断)と完全であり、作業料金は
 標準サービス料金(HD基本対応)       45,000円
 データー復旧作業工賃、物理障害対応    10,000円
 合計                         55,000円  (消費税別)

 というとても安いものであり、復旧に成功したデーターは、新品のUSB外付け2.5インチHDDに納めてNTFSファイルフォーマットで納品してくれました。サービス体制も良く、もしも(?)再度このようなことがあったならば、迷うことなく秋葉原データ復旧センターさんを利用したいと思います。皆さんも、データー復旧を業者に依頼する機会があった時は、慎重に業者を吟味してサービス、価格、技術で有利なところを選びましょう。
 また今回、障害を受けたHDDが返送されてきたことから、データーを破壊するためにHDDを分解しました。ここで分かったことですが、障害の発生した韓国・三星(SUMSUNG)社のドライブに装着されていたインターフェイス基板を外したところ、ドライブ本体とのコネクター部のメッキがされておらず、錆びていてドライブが正常に機能しなくなる可能性が高いと判断しました。

 画像の右側がドライブ本体とのコネクター部ですが、メッキがされておらず、プリント基板材料の銅板そのままの状態に近く、黒っぽい錆が発生していました。コネクターの形状も、バネ状の端子を柔らかく接触させるタイプになっており、容易に接触不良を引き起こす可能性があります。この構造が購入後1年6箇月で障害を発生させた唯一の原因であるとは断言できませんが、こういった手抜き設計を数多く取り入れると、製品全体としての信頼性は大きく低下し、保証期間の1年が過ぎるとすぐに故障するという、メーカーにとっては思う壺の製品が実現するのです。
 因みに、当研究所にあった日立製(アセンブリーは中国)の同形式の不動作ドライブを分解してみたところ、このコネクター部は強力な点接触方式で、基板の端子部分はハンダメッキが施されていました。
 これが分かった時から、私はBuffalo社と三星(SUMSUNG)社を信用しなくなりました。

 さて、今回のNASの障害からデーター復旧までの損害を重く見て、当研究所では今後NASは使わず、パソコンを使用したファイルサーバーシステムを構築・運用することにしました。

 (NASを使うことによる問題点)
 内蔵されているHDDの品質に問題があり、新品に買い換えても同じ障害の再発が予想される。
 RAID方式のNASにしても良いが、設備費用が高く、上記のHDDの品質の問題はなおも残る。
 内蔵されているHDDが読み込み不良になったとしても、LINUXで駆動されているため、パソコンで直接読んで現象を解析することができない。
 上記の如く、HDDはNAS独自のファイルフォーマットになっているため、データー復旧を業者に依頼した場合もNAS対応のための費用がかさむことになる。
 (ファイルサーバーをパソコンで行うことについての利点)
 家に旧式のパソコンが非稼働状態であり、新たに設備費用が掛からない。
 ファイル保存用の大容量HDDは、保証付きの製品を購入することが可能である。
 当研究所では、ファイルサーバーを稼働させる時間はそれほど多くないため、高価な専用ストレージシステムは必要ない。


 システム構成は、セレロン-667MHzのデスクトップパソコン(WindowsXP)と、「あばれ馬」USB-SATA/IDE変換ケーブルと250GB S-ATA HDDを2組です。

← あばれ馬 AB-HE2020。「アダプタ」ではなく「アダプター」と正しい日本語の綴りをしているところが更に気に入った。


 HDドライブはディスク-1とディスク-2を持たせ、ディスク-1はクライアントに対してR/Wの権限を与え、ディスク-2はファイルサーバーにしかR/Wの権限を与えない。こうして定期的、または必要時にファイルサーバーがディスク-1からディスク-2へのコピーを行うことで、短期間によるサイクルでミラーリングを行うようにする。

 あばれ馬の転送速度は非常に速く、クライアントコンピューターから見ればNASとほとんど変わらない、使い勝手の良いファイルサーバーシステムが総費用14,000円程度で出来上がったことに満足しています。また、内蔵の30GB HDDよりも外付S-ATA HDDの方がアクセス速度が速いので、仮想メモリーを外付HDDのみに設定したところ、CPUの負荷が軽くなり起動時間が20%も速くなりました。

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